第34回 御木本メソッドアカデミー認定講師と研修生のためのセミナー 

2025年5月18日(日)、第34回御木本メソッドアカデミー認定講師と研修生のためのセミナーをオンラインで開催しました。司会進行は恩田 明香特別講師です。

今回は初の試みとなる「講師による発表シリーズ第1回」として、認定講師第1期生である3名の講師に、それぞれ自由なテーマで発表していただきました。2015年から10年間、認定講師として活躍しているベテランの先生方です。

柴田 牧講師〈音を聴くことと伸二関の意識の関係性〉

自分自身の子ども時代から御木本メソッドに会う前までの奏法への疑問や葛藤、講師になってから現在の指導とピアノトリオの演奏活動を通して得た閃き、伸2関を意識することと音を聴くことの繋がる瞬間、そしてそれまでとは違う集中が必要になることについて、5名の生徒のレッスンの事例を通して具体的に紹介しました。耳が閉じた状態ではトレーニングが演奏に活かされないこと。日常的にメソッドの重要なポイントを指導内容に盛り込めば、正しい方向に導くことができること。トレーニングをコツコツと真面目に積み重ねてきた生徒が、ある日、指の意識と付け根の脱力、肩甲骨から弾く意識を持ちつつ、そこに音楽的イメージと音を聴く耳が統合された瞬間、サナギから蝶に変身するかのように音が劇的に変化したエピソードなど、生徒の能力に合わせて根気よく指導し続けている姿勢からは多くの学びがありました。また、伸2関を意識するために効果抜群のグッズを紹介しました。

柴田 牧講師

谷垣夏海講師:〈年代・条件別の生徒から見る御木本メソッドの多様性について〉

現在レッスンを行っている生徒を3つのカテゴリーに分け、それぞれのモデル生徒についてレッスンの目標設定や指導項目、生徒の反応、成長の様子、他の先生からの評価などについて説明しました。それらの経験から、生徒の年齢、能力、立場に応じて如何に柔軟に対応する必要があるかを痛感していることを発表しました。トレーニングはどの生徒にも有効であり、未就学児のレッスンではトレーニングを準備体操として取り入れ、演奏時にはトレーニングで得た感覚を自然に呼び起こすような声がけをしていること。音高生には成長発達に適したトレーニングを指導しながら、ホールでより音楽的で響きのある演奏ができるように体との連動性を重視して結果が出てきたこと。副科ピアノの生徒にトレーニングを行った結果、専攻楽器の演奏でも姿勢の改善や脳の働き方や耳の使い方が変化し、思わぬ相乗効果があったことなど、常に音楽的な演奏につながるように工夫しながらトレーニング指導を行っている様子がありありと伝わってきました。

谷垣 夏海講師

藤田 尚講師:〈日々のレッスンを通しての学び〉

現在レッスンを行っている生徒を3つのカテゴリーに分け、それぞれの様子と感じている学びについて発表しました。特に興味深かったのは、テクニックに困って来る音高・音大生への向き合い方です。トレーニングで得た能力が音楽的な演奏として活かされるためには、技術的欠陥を技術で埋めようとするのではなく、正しい音楽的解釈によって自然に結びついていくものであること。トレーニングや打鍵指導をしても良い変化がない場合、本人の思い込みや音楽的な好みによって受け入れ難い状況になっていることがあります。生徒に限界突破が必要な場合、じっくり対話を重ねて生徒の理想と現実的な折り合いがつけられるよう、何をすべきかを具体的に示しながら寄り添っていく姿勢が印象的でした。すでに沢山練習を重ねている悩み多い生徒たちに、「自分だけができないわけではない。こう練習したら弾けるんだ」という希望を持ってもらいたい、夢を与えられる指導者でありたいと抱負を語りました。

藤田 尚講師

各講師の発表の後は、参加者からの質問や感想を受けて有意義な意見交換が行われました。どうしたら生徒をより良い方向に導けるのか、一人一人と真摯に向き合って愛情深く指導している様子に深い感銘を受けました。

現在、御木本メソッドアカデミーの講師は15名となりました。経験を積んだ講師の皆様にお話いただくことで、御木本メソッドを多角的にとらえ、未来につながる知恵や発展のヒントを模索していきたいと思います。研修生の皆様にとっても、講師の活躍する姿や考え方から学ぶことは多く、研修の励みになると思います。今後もぜひ、シリーズ企画として継続していきたいと思います。

お忙しいところ貴重な発表をしてくださった講師の皆様、また、ご参加くださった皆様に、厚く御礼申し上げます。

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