2022年12月28日 (水)、第27回 御木本メソッドアカデミー認定講師と研修生のためのセミナーを Zoom で開催しました。講師は山本光世 特別講師です。
今回は「上腕、前腕、手首、足のトレーニングと奏法への活かし方」〜データ表4ページ目とエクササイズ集を題材に、その考え方の例と実践〜と題して、手首や腕および足(ペダル)のトレーニングとエクササイズ集を使って、どのように上腕を乗せるか、レガート奏法の仕組み、左右の移動時の注意点、ペダル課題の教え方等について解説しました。また、参加者の大半にエクササイズの音型を弾いてもらい、オンライン上で短時間のレッスンを行いました。
まずエクササイズの準備として、保続音の弾き方から丁寧に指導方法を解説しました。上腕屈伸のトレーニングを、豊かに響くレガート奏法に繋げていくための導入として、じっくり時間をかけて指導してゆきます。手首は軽く支えて上腕の重みを乗せながら、指の付け根からフワッと立ち上げる奏法は、長く響くロングトーンを生み出す御木本メソッドにおける奏法の基礎と言えるでしょう。それぞれの手や腕の特徴と悩みに応じて、大変細かいプロセスを踏みながら、根気強く確実に身につけていくための指導の在り方を学びました。
弾いた後の音を聴いていないかったり、上腕を無造作に置いてしまい、滑らかに指と腕が連動しない生徒さんたちの具体例を動画で紹介しながら、どこに課題があり、どのようにアプローチしていくかを解説しました。トレーニングと打鍵を結びつける手段として、シンプルなエクササイズ音型で手指・腕の使い方を意識しながら、ゆっくり丁寧に向き合うことで、おのずと自分の音を聴く習慣が身につき、より自然な奏法や音質の改善につながります。
ペダルの課題では、足のスピード自体の速さと、手と足を交互に動かすことが苦手で手の動きがぎこちないケースについて解説し、その指導法を紹介しました。カラダで拍を感じられること、上腕や手が連動して自然に上がってくる動き、さらに手を叩いた後の音の響きを聴けることが、スムーズなペダリングや響きの良い音で弾くための重要なポイントです。動作が達者でも、自分の音を聴けていないケースも多いため、指導にあたりスムーズな動きと共に、音を聴く耳を養うための声がけが必要です。
今回は参加者の皆様にピアノの前で受講していただき、実際に弾くことによって各自で音色の違いをリアルタイムで体験していただきました。上腕のストレッチ、打鍵直後の指の付け根の脱力、関節の支えの意識、姿勢や椅子の高さ、肘の角度、手の形、鍵盤に触れる指の場所など、意識するところや弾き方のイメージを少し変えるだけでタッチに微妙な違いが生まれ、音が変わっていくことを実感できたのではないでしょうか。
一見、簡単そうに見えるエクササイズの音型ですが、いざ弾いてみると、意外と出来ていないことに気付かされます。また、普段の曲を演奏する時のクセや、弾き方の特徴も無意識に現れるものです。シンプルだからこそ見えてくる問題点があります。そこを浮き彫りにして、トレーニングと打鍵指導により神経と耳を研ぎ澄ませながら、より自然で合理的なテクニックを確実に身につけることができる・・・これぞまさしく御木本メソッドの強みであることを再認識しました。
年末の気忙しい時期にご参加いただき、誠にありがとうございました。来年は対面セミナー開催を目標に、より学びが深まるようなセミナーを企画していきます。来年もどうぞよろしくお願いいたします!
参加者の感想
今日はセミナーに参加させていただきましてありがとうございました!
直接その場で指導を受けることができたり、他の方への指導を見ることができとても勉強になりました。またトレーニングの前段階(促し方)もたくさん知ることができました。
エクササイズ集も更に活用していけたらと思います!
今回も、学びの多い内容をご教授くださいまして、ありがとうございました!
幼児期から取り組める手首と腕の体操について、動かし方を実際に体験することができ、とてもわかりやすかったです。早速、ウォーミングアップとして、レッスンで試してみたいと思っております。
エクササイズ集の時間はとても実践的な内容で、参加者一人一人の状況から先生がご指摘される様子までを細かく見ることができ、レッスンにおける指導のコツや注意するポイントなど、細やかな点まで学ぶことができたように感じております。
レッスンで取り入れてみるなど、自分自身でも試してみながら、今回学んだ内容を深めていきたいと思います!