2023年12月29日 (金)、第30回 御木本メソッドアカデミー認定講師と研修生のためのセミナーを、Zoomによるオンラインセミナーにて開催しました。
保育者養成における「豊かな感性や表現する力」を伸ばすピアノ指導の実践例〜レベルに応じた御木本メソッドの伝え方〜と題して、前半は守田絢子講師のポスター発表の解説と対談、後半はブレイクアウトルームにて参加者全員でグループディスカッションを行いました。

まず、守田絢子講師が日本音楽教育学会で行ったポスター発表で担当した部分の解説を行い、授業やグループレッスンの効果と可能性、一般学習者に向けた御木本メソッドの伝え方の課題について、恩田明香特別講師との対談形式で話し合いました。
ポスター発表では「豊かな感性や表現する力を育てる」という文部科学省の指導要領に基づき、A.表現するイメージを高めるための声がけを主とした音楽表現に特化したアプローチ、 B.御木本メソッドのフィンガートレーニングを主とした技術向上のための具体的指導のアプローチ、この2つの発表を行いました。B.を担当した守田講師は、初心者が取り組みやすい内容で、身近な道具を使用して手軽にできるトレーニングを授業時間内で全員一緒に行い、各学生のトレーニング結果と実技試験の成績との相関関係をグラフ化することで、実習などで練習時間が十分に取れない多忙を極める保育科の学生さんでも短期間で技術力を高められるということを分かり易く解説しました。
グループレッスンの効果やメリットについて、守田講師はその効果を強く実感しているとのこと。グループレッスンのメリットは、初心者でも気軽に始めやすく、みんなでワイワイと楽しくできることや、お互いの様子を見たり教え合ったりすることで、自分の手の特徴を客観的に知り理解を深めることができる点、また、指導者側としては、属7の和音やアルベルティバスのような共通に難しい技術について一度に指導できるため、時間短縮になることを挙げました。
指導においては、さまざまな状況に配慮しつつ、できないところばかりを指摘するよりも、完璧さを求めず、少しでも出来たことをしっかりと褒めていくことを心がけているそうです。相手の許容範囲を見極めて、「何を言わないか」「いつ言うか」を考えることや、相手が受け入れやすい声がけの引き出しをたくさん持つことの必要性を述べました。
後半はグループディスカッションにて「今後、御木本メソッドをどのように伝えていきたいか」「御木本メソッドの長所と課題」について意見交換し、御木本メソッドの裾野を広げるための様々なアイデアや今後の課題を共有しました。
御木本メソッドは専門家だけで無く、初心者から上級者まで、様々なレベルの人たちにフィットする指導ができる可能性が広がっていること。間違えた練習方法や不自然な奏法で手の故障に悩まされることのないように、テクニックのベースとして多くのピアノを学ぶ人たちに知ってもらいたいこと。
そのために、御木本メソッドが幅広い層に伝わりやすい方法を更に発展させていこうと、今後の可能性を強く感じたセミナーでした。

年の瀬のお忙しい中、ご参加いただき誠にありがとうございました。今年も色々な角度から学びを得られるようなセミナーを企画して参りますので、どうぞよろしくお願いいたします。