2023年5月14日 (日)、第28回 御木本メソッドアカデミー認定講師と研修生のためのセミナーを Zoom で開催しました。講師は佐藤 美香 特別講師です。
「~エクササイズ集より~テクニックを組み合わせて響きの奥行きを考える」と題して、前半は御木本メソッドエクササイズ集より、両手の連携や2声、6度の課題から、音楽的に弾くために自分の指や体をどう使っているのかについて、佐藤先生ご自身の演奏動画を交えながら詳しく説明してくださいました。
「作曲家が違うと、どんな音色になるのか?」「表情や速度を変えて弾いてみたらどうなるか?」「指使いによって音色や音楽の方向性、表情にどのような変化が生まれるか?」など、まるで遊びのように様々なアイデアを盛り込みながら、テクニック教材を音楽に結びつけたアプローチ方法を紹介しました。単に指が動くようになるためのエクササイズではなく、その奥には御木本先生の音楽的な意図もしっかり盛り込まれていることを力説されました。
特にペダリングについて、佐藤先生独自のトレーニング方法は画期的で、どれも大変興味深いものでした。佐藤先生の、足のつま先まで自由自在にコントロールできる抜群の運動神経には、ただただ驚くばかりです。
後半は、ショパン24のプレリュードから抜粋した曲のレッスン動画を紹介し、音楽的なアプローチと、そのために必要な手や体の使い方について、それを実現するために考案したトレーニングを教えてくださいました。
秤の上でのトレーニングのままでは音楽にはならないため、実際に鍵盤の上でも同様のトレーニングを行い、音をよく聴きながら、鍵盤の広さや黒鍵白鍵の位置によって、指や腕の運び方をさらにコントロールしていく必要があります。5本の指それぞれの出したい音色に応じた複数のトレーニングを同時に行うことで、内声、メロディーそれぞれの旋律を、複雑なニュアンスを交えて弾き分けるバランス感覚を身につけます。
レガートで弾くためには指の上げ方を意識すること、声部の表情を変えて歌うために各指をどのように使っているのか、コントロールされた脱力の仕方など、見た目にはわからない内部の意識まで詳しく解説してくださいました。
どんな時でも指が一人歩きをせず、「体全体が指」と思うくらいに、常に体からのうねりと手の体幹、軸を持って指先の隅々までをコントロールしていることが、先生の弾いている姿と豊かな変化のある生きた音色からよく理解できました。
参加者の皆様からも、「あっという間の2時間で、素晴らしいセミナーだった!多くの学びがあった」と絶賛の声が多数届きました。「まだまだお伝えしたいことが沢山あります」と仰る佐藤先生、ぜひ続きをお願いしたいです!
お忙しい中、皆様ご参加いただき、ありがとうございました!