2022年5月29日 (日)、第25回 御木本メソッドアカデミー認定講師と研修生のためのセミナーを Zoom で開催しました。講師は山本光世特別講師です。
今回は「トレーニングと教具の名称、記録の仕方について。第23回セミナーの質問に応えて」という内容で、データ記入の基本的な考え方、トレーニングの名称と記録の仕方について、上皿秤、バネ秤といった教具の名称の紹介、データ表の記入例などを全体的に説明し、セミナー参加者も自身の経験や意見を述べながら進めました。
データの赤字、黒字、卒業数値の基準をある程度定めておくことによって、生徒のモチベーションアップに繋がったり、講師側も視覚的に生徒の未熟な場所を見つけやすくなります。弱点に的を絞って宿題を出すことで、生徒自身が目的意識を持って練習ができる工夫が随所に散りばめられていました。
データ表は「こう記入しなければならない」というものではなく、講師と生徒との間で共通理解ができていれば自由に行って良いとのこと。実際、レッスンでの計測方法は常に一定にとはいかず、その都度、生徒の理解しやすい方法にアレンジしたり、曲に応じて手や指の角度を変えて計測することも多々あります。おもり、輪ゴム、トレーニングボード、バネ秤、メトロノーム1拍に合わせる回数など、トレーニングで使用するグッズや計測方法も様々ですから、ちょっとしたメモや留意点、計測方法を明記した書き方を心がけることで、生徒の手の状態をより正確に把握しながら成長を追うことができます。計測するトレーニングの具体例なども実演しながら、参加した講師の皆様のご経験やご意見も伺いました。それぞれに計測方法や記入欄の使用方法が少しずつ異なり、大変興味深かったです。
後半は、過去に参加者の皆様から集計したアンケートの中から質問を3点取り上げ、特別講師が意見を述べ、それに対して参加者の質疑応答に答える試みを行いました。
データの「赤字、黒字、卒業」という概念が、筆者自身は漠然としたものになっていましたが、御木本先生が数値に大変厳しかったこと、生徒によっては数値が上がって手が開発されていく喜びを感じてモチベーションを保っていること、本格的にピアノを学び上達したいと願う人にとっては、「ここまでの数値が出せなければ難曲を弾きこなせない」という厳しさを教える必要があるということを再認識するとともに、過去の自分が書いたものを、現在の自分はもちろん、他の誰が見ても分かるようなデータ表の記入ができるようにしたいと思うきっかけになるセミナーでした。
参加者の皆様、お忙しい中ご参加いただき誠にありがとうございました!